最初に使用する道具の紹介
このページで使うツールを紹介します。
※下画像左から
- 別たち(オルファ)・・・革の断裁に使います。
→500円前後 - プロ用銀ペン(クラフト社)・・・革に裁断線を引くために使います。オイルや消しゴムで消すこともができます。
→500円前後 - ヘリ落とし(クラフト社)・・・断裁面の面取り(角の削ぎ落とし)に使います。
→2,000円前後 - サンドスティック(クラフト社は5本入り)・・・ヘリを落とした後のヤスリがけに使います。
→900円前後 - ウッドスリッカー(クラフト社)・・・断裁面のヘリを取って、ヤスリがけをした後のコバ磨きに使います。CMCを塗って後に磨いていきます。
→2,000円前後 - 鉄筆 (協進エル)・・・銀ペン同様に型紙のトレースに使います。私の場合は型紙内に書かれている印(位置)関係のトレースに使っています。
→600円前後 - CMC(70g)(クラフト社)・・・革の床面、コバの仕上剤です。粉末状のもので水に適量を溶かして使います。
→700円前後 - ガラス板(クラフト社)・・・革の床面にCMCを塗布したあと、ガラス板で磨いてコバを整えます。
→2,000円前後 - 美錠抜き4号 (12mm)(クラフト社)・・・ベルトの美錠(バックル)の取り付け穴を開けるための楕円形の穴あけポンチです。
→2,000円前後 - 木槌(クラフト社)・・・木のトンカチです。革にポンチで穴あけをしたり、縫い穴を開けたりするために使用します。
→1,500円前後 - 定規・・・30cmの定規。100円ショップに売っているもので大丈夫です。
→100円 - ビニール板 小 37×38×0.6cm(クラフト社)・・・目打ちやポンチを木槌で打って革に穴を開ける時に下に敷くマットです。私の場合はデスク全体をビニール板にしています。初めてな方は37×38×0.6cmのサイズを購入すると良いと思います。
→4,000円前後
全て簡単にネットで手に入るものです。全部で15,000円前後といったところです。
CMCは上画像のように粉末状のものになります。水に溶かすだけで革の床面、コバの仕上剤になります。個人でレザークラフトを趣味でやっている方であれば、こちらの70gの容量で数年は使えます。
型紙を使って革にトレースをしてみよう
①今回はブログの掲載用というのもあって、ざっくり使う分を切り分けました。
②この切り分けた革に型紙を乗せてみます。
③この型紙の通りに「銀ペン」を使って革にトレースをします。
④定規を使って丁寧に線をで印をつけていきます。型紙にはオモリを乗せておかないと絶対にズレます。必ず2個以上のオモリを乗せてください。
⑤ゴムバンドの取り付け穴の位置は銀ペンでは描けないので「鉄筆」を使って印をつけます。
⑥穴の位置は横幅がわかるようにすれば良いだけなので、穴の位置の両端に「点」の跡をつけるだけです。
⑥ゴムバンドの穴の位置を点で記しています。
⑦型紙のトレースが完成です。
いよいよ断裁!型紙をトレースした革を断裁します
①銀ペンでトレースした線に対して「別たち」を垂直に入れます。そのまま押し込んで革を切っていきます。押し切りしていく感じです。一点注意ですが、出来るだけトレースの線の内側を断裁するようにしてください。そうでないと、微妙に型紙より大きくなってしまいます。また、「別たち」の扱いに慣れてくると押し切りでは無く、なぞるような感じで革を切っていくことが出来るようになりますが、初心者の場合、この「押し切り」がベストです。
②ゴムバンドを通す穴については「鉄筆」で印をつけたところに「美錠抜き4号(12mm)」で穴を開けます。2つの点を「美錠抜き」で囲い込む感じで当てて、「木槌」で叩いて抜きます。
③全て長方形なので難しくは無いと思います。大体20分〜30分くらいで出来る作業量です。慌てずに丁寧に断裁していくことがポイントです。
断裁後に革の床面のコバを磨く
※ここでの作業はCMCを水に溶かして作った、コバの仕上剤(以下、CMC)を使って革の毛羽立ちを抑えて綺麗にする工程です。
①CMCを用意します。CMCを塗布には、小さなスポンジを使うと便利です。
②下画像のように全体に塗布します。塗布した部分は色が変わるのでわかりやすいです。塗りすぎた場合はキッチンペーパー等で染み込ますように取り除くと良いです。
③塗布が終わったら、「ガラス板」を使って磨いていきます。
④下画像のように「ガラス板」で床面を擦ります。このとき、がむしゃらに擦ると磨きの跡がムラのようになってしまうことがあるので、1方向に向けてあまり力を入れずに擦ります。当然力を入れますが、程よい感じに力を入れて滑らす感じで磨いていきます。
⑤下画像のような感じで一旦終了です。CMCは揮発性が無いのですが、結構乾くのが早いです。擦っていると乾いてくるのですが、乾いている部分も1方向であれば引き続き「ガラス板」で擦っていてもOKです。
⑥30分程度置いておくとこのような感じで乾きます。塗布前と比べるとハリが出て硬くなった感じです。
⑧触るとスベスベしています。このムラの無い感じが成功です。しかし、仕上がりは革の元々の質や部位に左右されるので、CMCで仕上げれば全てこのようになるとは限らないです。例えばお腹の方の繊維密度の粗い部位であったり、柔らかい革にはコバの仕上げは不向きです。
【注意】縫付け前にコバ磨きをしないといけない部分を処理
①下画像の点線部分のコバは縫い付けた後だとコバを磨けなくなるので、縫い付ける前にしっかりコバ処理をしておきます。
②断裁面のコバ仕上げの方法は、断裁面の面取り(角を取る)をして、ヤスリで滑らかにした後にCMCを塗布して磨く流れです。まずは、「ヘリ落とし」を使います。
③「ヘリ落とし」を革の断裁面の角に当ててカンナで削るような感じで面取りをします。表側(銀面側)と裏側の両方に処理をします。
④面取りした角を「サンドスティック」で削って滑らかにします。これも表側(銀面側)と裏側の両方にヤスリがけをしてください。この処理をしっかりやっておくと最終的な仕上がりが綺麗になります。なので、一番手を抜いてはいけないところです。
⑤わかりにくいかもしれませんが、しっかりと断面の面取りとヤスリがけができました。このとき、手で断面を触って滑らかになっていることを確認してください。
⑥拡大するとこんな感じです。
⑦断面にCMCを塗布します。このとき、塗りすぎないように注意しましょう。塗りすぎた時はキッチンペーパー等で取り除けば大丈夫です。
⑧ここで「ウッドスリッカー」の出番です。この「ウッドスリッカー」には溝が4つあり革の厚みに合った溝に入れて使います。
⑨革の断面を「ウッドスリッカー」の溝に合わせてこのように擦ります。力を入れると断面が潰れてしまうので、優しく擦る感じです。
⑩下画像のように光沢が出てきます。私の場合はほぼ乾くまで擦ります。最初はCMCで濡れていて摩擦がありますが、乾いていくに従って摩擦がなくなり、光沢が出てきます。乾くまでというより、光沢が出るまで擦るといった感じです。
⑪仕上がりました。写真ではわかりにくいですが、光沢があります。触るとツルツルしていることがわかります。
⑫拡大してみました。かなりツルツルにしたのですが、画像ではわかりにくい(汗)
まとめ
このページでは型紙のトレースから革の断裁とコバの処理について掲載しました。特に根気のいる作業や器用さを必要とする内容は無いかと思います。一貫して言えるのは落ち着いて丁寧に作業することです。そうすれば、しっかりした完成を見ることができます!
あとは革を貼り合わせて縫って仕上げていく工程です。